ジャディアンス 製品紹介心機能低下による腎臓への影響 
~心腎連関から考える糖尿病治療~

ジャディアンス

前回は、心腎連関における腎臓から心臓への働きかけをご紹介しました。腎機能低下による炎症やミネラル代謝異常は、高血圧や脂質異常症といった従来の心血管リスク因子とは別に、腎機能障害特有のリスク因子として心血管疾患の発症に関与します。
今回は、心機能低下による腎臓への影響について解説いたします。

心腎連関の全体像

図1心腎連関の全体像

心臓から腎臓への影響で重要となるのは、主に内皮細胞の障害による動脈硬化です。これには炎症や交感神経系の亢進、レニン・アンジオテンシン(RAS)系の亢進といった因子が関与します。

心臓から腎臓への働きかけの機序

図2心臓から腎臓への働きかけの機序

こちらは、心機能低下による心筋障害が腎不全を引き起こす機序を示した図です。

心臓のポンプ機能低下により、RAS系および交感神経系が活性化し、さらに血管収縮作用を有するホルモンであるバソプレシンやエンドセリンの分泌が亢進することで、血管収縮が引き起こされます。
血管が収縮すると腎臓への血流が減少し、腎糸球体ろ過量(GFR)が低下し、腎不全につながります。
また、RAS活性化やTNF-α、IL-6等の炎症性サイトカインの増加は腎線維化をもたらし、腎不全に移行します。

心腎連関におけるRAS系の関与

図3心腎連関におけるRAS系の関与

心腎連関におけるRAS系の関与について紹介します。
複数の臓器にRAS系が関与しており、血管収縮、またアルドステロン分泌によるナトリウム再吸収の促進を通して、全身の血圧を正常に保つ働きがあります。
心腎連関においては、RAS系活性化によるナトリウム再吸収促進は体内のナトリウムの貯留をもたらし、抗利尿ホルモンであるバソプレシン分泌亢進による水の再吸収促進と互いに影響し合って体液量を増加させます。

心不全患者の中心静脈圧(CVP)上昇は腎機能低下と関連する(海外データ)

図4心不全患者の中心静脈圧(CVP)上昇は腎機能低下と関連する(海外データ)

体液量が増加すると、全身から心臓に戻ってくる血液量が多くなり、心不全の代償機構として増大していた心臓の前負荷が更に増大します。
前負荷増大は心臓の中心静脈圧(CVP)を上昇させますが、CVPの上昇は、血圧や心機能などと比べ腎機能低下により大きく関与することが報告されており、ベースライン時のCVPが24mmHg以上であると腎機能低下リスクが高いことが示されています。

健常人におけるH-FABP(心筋障害マーカー)とインスリン抵抗性との関連

図5健常人におけるH-FABP(心筋障害マーカー)とインスリン抵抗性との関連

では、糖尿病における心機能低下は糖尿病が発症してから始まっているのでしょうか。
心血管疾患の兆しである心筋障害は糖尿病発症前から現れていることが示されています。
山形県の住民を対象としたコホート研究では、インスリン抵抗性またはメタボリック症候群を有する場合、インスリン抵抗性のない人に比べ、心筋障害マーカーであるH-FABPの血中濃度が有意に高くなっていました。
このことより、心腎連関の始まりとなる心筋障害は、糖代謝異常の段階から始まっていることが示唆されます。

まとめ

糖尿病における心腎連関は、糖代謝異常の段階から始まっており、進展すると患者さんのQOLや寿命に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
その連関を断ち切るためには、心腎連関のメカニズムを理解し、心機能低下あるいは腎機能低下に寄与する血糖・血圧・脂質といった因子を早期から包括的に治療することが重要です。
患者さんの将来を守るための治療に、ぜひ本コンテンツの情報をご活用ください。
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2020年7月作成
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心腎連関の全体像

心臓から腎臓への働きかけの機序

心腎連関におけるRAS系の関与

心不全患者の中心静脈圧(CVP)上昇は腎機能低下と関連する(海外データ)

健常人におけるH-FABP(心筋障害マーカー)とインスリン抵抗性との関連