ジャディアンス 製品紹介合併症から考える糖尿病治療
心血管イベントリスク低減に向けた糖尿病治療

糖尿病は様々な合併症のリスクを高める疾患として知られており、合併症の発症を考慮した治療が求められます。今回はジャディアンスのHbA1c低下作用や安全性について紹介するとともに、日本を含む42か国において心血管イベントリスクの高い2型糖尿病患者を対象に実施された検証試験であるEMPA-REG OUTCOME試験について解説します。

糖尿病による循環器疾患リスクの増加

糖尿病の三大合併症として知られる「糖尿病網膜症」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病神経障害」はいずれも細小血管障害ですが、糖尿病では細小血管障害だけでなく、脳卒中や循環器疾患などの大血管障害の合併も認められます。
糖尿病患者における大血管障害の発症リスクは、非糖尿病患者に比べて高く、脳卒中の発症リスクは男性では1.64倍、女性では2.19倍、循環器疾患による死亡リスクはそれぞれ1.76倍、2.49倍に増加するという研究結果が報告されています。

日本糖尿病学会は、「熊本宣言2013」において、「糖尿病になった方が健康で幸福な寿命を全うするためには、早期から良好な血糖値を維持することが重要」とし、合併症予防のための目標値としてHbA1c 7%未満を掲げています。
その一方で、2型糖尿病患者の約半数の患者はこの目標値を達成できていないという報告があります。

糖尿病はさまざまな合併症のリスクを高める疾患です。
高血糖の改善に加え、合併症の発症・進展を考慮した治療が重要です。

糖尿病の合併症

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  • 1) Cui R, et al.: Stroke. 2011; 42(9): 2611-4.
  • 2) Kato M, et al.: BMJ Open. 2015; 5(4) e007736
  • 3) 日本糖尿病対策推進会議:糖尿病に関するリーフレット各種(2005年作成)
  • 4) Kawasaki R, et al.: Diabetologia. 2011; 54(9): 2288-94.
  • 5) 日本透析医学会: 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在)
  • 6) 一般財団法人糖尿病データマネジメント研究会:2017年度基礎集計資料

ジャディアンスの持続する優れたHbA1c低下作用

ジャディアンスはナトリウム依存性グルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害薬に分類される2型糖尿病治療薬の1つです。
ジャディアンスの国際共同第Ⅲ相試験EMPA-REG MONO試験では、2型糖尿病患者899例を対象に、ジャディアンス単独療法の有効性および安全性が24週間にわたり検討されました。さらに、615例については52週間の延長試験としてEMPA-REG EXTEND MONO試験が実施されました。
EMPA-REG EXTEND MONO試験の対象は、食事・運動療法による血糖コントロールが不十分(HbA1c 7.0~10.0%)で、薬物療法歴のない2型糖尿病患者です。対象をジャディアンス10mg群、ジャディアンス25mg群、プラセボ群またはシタグリプチン100mg群に無作為に割り付け、1日1回24週間経口投与し、さらに52週間延長投与しました。有効性評価項目は、投与52週および76週後のHbA1c、空腹時血糖値、体重、収縮期血圧および拡張期血圧のベースラインからの変化量としました。また、その他の有効性評価項目は投与76週後のHbA1c<7.0%達成率、76週の投与期間中におけるレスキュー治療使用率、安全性評価項目は、投与52週および76週後ならびに治療最終時点の有害事象の発現頻度としました。
その結果、有効性評価項目である投与76週後のHbA1cのベースラインからの平均変化量は、プラセボ群0.13%、ジャディアンス10mg群-0.65%、ジャディアンス25mg群-0.76%、シタグリプチン100mg群-0.53%でした。
ジャディアンス10mg群、ジャディアンス25mg群およびシタグリプチン100mg群では、投与12週時までにHbA1cが7.0%前後に改善しました。また、ジャディアンス10mg群およびジャディアンス25mg群では76週にわたり、持続的なHbA1c低下効果が認められました。

EMPA-REG EXTEND MONOTM
(国際共同試験:検証試験)試験デザイン

目 的
2型糖尿病患者に対してジャディアンス10mgまたは25mgを1日1回、24週間投与したときの有効性、安全性および忍容性について、プラセボあるいはシタグリプチン100mgと比較検討した国際共同第Ⅲ相臨床試験(EMPA-REG MONOTM)の52週間延長試験(EMPA-REG EXTEND MONOTM)を行った。
対 象
EMPA-REG MONOTM 試験に参加した、食事・運動療法にて血糖コントロール不十分(HbA1c 7.0~10.0%)で、薬物療法を行っていない※1 2型糖尿病患者899例。そのうち615例は試験をさらに52週間継続した。

※1 治験薬投与前12週間以内に糖尿病治療薬による治療を受けていない患者

方 法
対象をジャディアンス10mg、25mg、プラセボ、またはシタグリプチン100mg※2に無作為割り付けし、1日1回24週間経口投与し、さらに52週間延長投与した。また、シタグリプチン100mg群※2と探索的な比較を行った。

※2 シタグリプチンは海外の用法・用量に従い、初回から100mgを投与

評価項目

[有効性評価項目]

  • 投与52週および76週後のHbA1c、空腹時血糖値、体重、収縮期血圧および拡張期血圧のベースラインからの変化量

[その他の有効性評価項目]

  • 投与76週後のHbA1c<7.0 %達成率
    (ベースラインのHbA1cが7.0%以上の患者)
  • 76週間の投与期間中におけるレスキュー治療使用率

[安全性評価項目]

  • 投与52週および76週後ならびに治療期最終時点の有害事象の発現頻度

PC

禁忌を含む使用上の注意等については添付文書をご確認ください。
シタグリプチンのドラッグインフォメーションについては、当該製品の添付文書をご確認ください。
Roden M, et al.: Cardiovasc Diabetol. 2015 Dec 23;14(1):154.(承認時評価資料) 
本試験はベーリンガーインゲルハイム社/イーライリリー社の支援により行われました。

ジャディアンスは1日1回の経口投与により、
持続する優れたHbA1c低下作用を示します

EMPA-REG EXTEND MONOTM(検証試験)

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禁忌を含む使用上の注意等については添付文書をご確認ください。
シタグリプチンのドラッグインフォメーションについては、当該製品の添付文書をご確認ください。
Roden M, et al.: Cardiovasc Diabetol. 2015 Dec 23;14(1):154. (承認時評価資料)より改変
本試験はベーリンガーインゲルハイム社/イーライリリー社の支援により行われました。

SGLT2阻害薬にて注目される有害事象とは

本試験における有害事象は、ジャディアンス10mg群76.8%(172/224例)、ジャディアンス25mg群78.0%(174/223例)、シタグリプチン群72.2%(161/223例)、プラセボ群76.4%(175/229例)に認められました。主な有害事象とその発現率は高血糖が各群8.9%(20/224例)、4.9%(11/223例)、12.6%(28/223例)、27.5%(63/229例)、鼻咽頭炎が各群14.3%(32/224例)、11.2%(25/223例)、12.1%(27/223例)11.8%(27/229例)などでした。
重篤な有害事象は各群11.2%(25/224例)、7.2%(16/223例)、8.1%(18/223例)、10.0%(23/229例)に認められ、死亡に至った有害事象はシタグリプチン群0.4%(1/229例)、プラセボ群0.4%(1/223例)で報告されました。
投与中止に至った有害事象は、各群4.9%(11/224例)、4.0%(9/223例)、4.9%(11/223例)、6.6%(15/229例)に認められました。

EMPA-REG EXTEND MONOTM
(国際共同試験:検証試験)安全性

  • 本試験における有害事象は、ジャディアンス10mg群76.8%(172/224例)、ジャディアンス25mg群78.0%(174/223例)、シタグリプチン群72.2%(161/223例)、プラセボ群76.4%(175/229例)に認められた。
  • 投与中止に至った有害事象はそれぞれ4.9%(11/224例)、4.0%(9/223例)、4.9%(11/223例)、6.6%(15/229例)に認められた。
  • 重篤な有害事象はそれぞれ11.2%(25/224例)、7.2%(16/223例)、8.1%(18/223例)、10.0%(23/229例)に認められ、死亡に至った有害事象はシタグリプチン群0.4%(1/229例)、プラセボ群0.4%(1/223例)であった。
  • 主な有害事象は、高血糖がそれぞれ8.9%(20/224例)、4.9%(11/223例)、12.6%(28/223例)、27.5%(63/229例)、鼻咽頭炎がそれぞれ14.3%(32/224例)、11.2%(25/223例)、12.1%(27/223例)11.8%(27/229例)などであった。

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禁忌を含む使用上の注意等については添付文書をご確認ください。ジャディアンスの承認された効能・効果は2型糖尿病です。シタグリプチンのドラッグインフォメーションについては、当該製品の添付文書をご確認ください。Roden M, et al.: Cardiovasc Diabetol. 2015 Dec 23;14(1):154. (承認時評価資料)より改変 本試験はベーリンガーインゲルハイム社/イーライリリー社の支援により行われました。

心不全による入院リスクの変化(EMPA-REG OUTCOME試験)

ジャディアンスの国際共同試験EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管イベントリスクが高い2型糖尿病患者を対象に、標準治療へジャディアンスを上乗せした時の長期の心血管安全性が検討されました。
対象は心血管イベントリスクが高く、標準治療による血糖コントロールが不十分の患者7020例です。対象を、標準治療にジャディアンス10mg、ジャディアンス25mgまたはプラセボをそれぞれ上乗せする群に無作為に割り付け、投与しました。主要評価項目は、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中(3P-MACE)のいずれかの最も早い初回発現までの期間、副次評価項目は心血管死、全死亡、心不全による入院への影響などです。

EMPA-REG OUTCOME®(検証試験)
試験デザイン

目 的
心血管イベントのリスクを有する2型糖尿病患者を対象として、標準治療に上乗せした場合のエンパグリフロジン群とプラセボ群との長期の影響を調べる
方 法
ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、ダブルダミー、イベント主導型(691件の主要複合心血管イベントが判定されるまで治験を継続) 
解析計画
主要評価項目においてエンパグリフロジンの非劣性が検証された場合に、プラセボ群に対する優越性の検証を行う。
主要評価
項目
3P-MACE (心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のいずれかの最も早い初回発現までの期間
重要な
副次評価項目
4P-MACE (心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、不安定狭心症による入院)のいずれかの最も早い初回発現までの期間
その他の
副次評価項目
心血管死・全死亡・心不全による入院への影響等
その他の
評価項目
HbA1c、空腹時血糖、体重、血圧への影響等
安全性
評価項目
有害事象、臨床検査値、12誘導心電図等

EMPA-REG EXTEND MONOTM(検証試験) 試験デザイン

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※16週までは4週毎に来院。16週以降52週までは12週毎に来院。52週以降治療終了時までは14週毎に来院。
効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等については添付文書をご確認ください。
Zinman B, et al. Cardiovasc Diabetol. 2014; 13: 102.
Zinman B., et al.; N Engl J Med. 2015;373(22):2117-28. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社/イーライリリー社の支援により行われました。

<参考情報>主要評価項目について、ジャディアンス群のプラセボ群に対する3P-MACE発現率のハザード比は0.86(95.02%信頼区間:0.74-0.99、p=0.04)と、14%のリスク減少が認められ、ジャディアンス群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。
また、副次評価項目の1つである心不全による入院については、ジャディアンス群のプラセボ群に対するハザード比は0.65(95%信頼区間:0.50-0.85、p=0.002)でした。

参考情報EMPA-REG OUTCOME®(検証試験)
主要評価項目及び、心血管死、心不全による入院、全死亡の結果

EMPA-REG OUTCOME®(検証試験)主要評価項目及び、心血管死、心不全による入院、全死亡の結果

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効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等については添付文書をご確認ください。
Zinman B., et al.; N Engl J Med. 2015;373(22):2117-28. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社/イーライリリー社の支援により行われました。

全有害事象の発現は、ジャディアンス10mg群90.1%(2,112/2,345例)、ジャディアンス25mg群90.4%(2,118/2,342例)、プラセボ群91.7%(2,139/2,333例)に認められました。主な有害事象は、低血糖がジャディアンス10mg群で28.0%(656例)、25mg群で27.6%(647例)、プラセボ群で27.9%(650例)、尿路感染症が各群18.2%(426例)、17.8%(416例)、18.1%(423例)などでした。
重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群で37.4%(876/2,345例)、25mg群で39.0%(913/2,342例)、プラセボ群で42.3%(988/2,333例)、投与中止に至った有害事象はそれぞれ17.7%(416/2,345例)、17.0%(397/2,342例)、19.4%(453/2,333例)に認められました。死亡はそれぞれ4.1%(97/2,345例)、3.4%(79/2,342例)、5.1%(119/2,333例)に認められました。

EMPA-REG OUTCOME®(検証試験)
安全性

  • 本試験における有害事象は、ジャディアンス10mg群90.1% (2,112/2,345例)、ジャディアンス25mg群90.4% (2,118/2,342例)、プラセボ群91.7% (2,139/2,333例)に認められた。
  • 重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群で37.4%(876/2,345例)、25mg群で39.0%(913/2,342例)、プラセボ群で42.3%(988/2,333例)、投与中止に至った有害事象はそれぞれ17.7%(416/2,345例)、17.0%(397/2,342例)、19.4%(453/2,333例)に認められた。死亡はそれぞれ4.1%(97/2,345例)、3.4%(79/2,342例)、5.1%(119/2,333例)であった。
  • 主な有害事象は、低血糖がそれぞれ28.0%(656例)、27.6%(647例)、27.9%(50例)、尿路感染がそれぞれ18.2%(426例)、17.8%(416例)、18.1%(423例)などであった。

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効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等については添付文書をご確認ください。
Zinman B., et al.; N Engl J Med. 2015;373(22):2117-28. (suppl.) 本試験はベーリンガーインゲルハイム社/イーライリリー社の支援により行われました。

2型糖尿病の合併症の発症予防には、血糖コントロールが重要であると考えられ、HbA1c 7.0%未満が目標値とされています。
今回ご紹介したように、ジャディアンスは投与12週時までにHbA1cを7.0%前後にまで改善し、76週間にわたり持続的なHbA1c低下作用を示しました。また、EMPA-REG OUTCOME試験で示されたように、心血管イベントリスクが高い2型糖尿病患者の治療においても有効な治療選択肢となりえます。さまざまなエビデンスを持つジャディアンスを是非ご検討ください。

糖尿病の合併症

EMPA-REG EXTEND MONOTM(検証試験)

EMPA-REG EXTEND MONOTM(検証試験) 試験デザイン

EMPA-REG OUTCOME®(検証試験)主要評価項目及び、心血管死、心不全による入院、全死亡の結果