トラディアンス【エキスパート解説】
2型糖尿病の治療方針と薬剤選択の考え方

トラディアンス

第2回:循環器専門医が考える2型糖尿病治療の薬剤選択とは?
ご監修:
日本大学医学部 内科学系循環器内科学分野 准教授
飯田 圭 先生

近年、糖尿病と循環器疾患の関連に関心が高まっています。本日は、心血管疾患を発症した2型糖尿病患者さんを含め、どのように2型糖尿病の薬剤選択を検討するべきか、循環器専門医の立場から、日本大学医学部 内科学系循環器内科学分野 准教授 飯田 圭 先生に、「2型糖尿病の治療方針と薬剤選択の考え方」についてお伺いします。
飯田先生は、大学病院の循環器内科と一般内科のクリニックで診療されており、大学病院で診ておられる患者さんのうち、約3-4割が2型糖尿病を併存しています。これらの患者さんは大きく2つのパターンに分けられ、もともと2型糖尿病があって心血管疾患を発症されたケースと、心不全により耐糖能異常を来し2型糖尿病を発症されたケースがあります。平均年齢は70歳を超えており、多くの患者さんが複数の併存疾患を有し、多剤服用されているとのことです。
一方、クリニックで診ておられる患者さんのうち約3-4割が2型糖尿病患者さんで、大学病院に比べると若年で、罹病期間が短く、糖尿病性合併症の頻度は比較的低いとのことです。

Q.先生の2型糖尿病の治療方針について教えてください。

図1糖尿病治療の目標

細小血管合併症とともに、やはり大血管合併症の発症・進展抑制を重視しています。血糖管理では、併存疾患を有する患者さんが多いため、早期にHbA1cを低下させることを目指しています。特に若年や罹病期間の短い患者さんでは、厳格な血糖コントロールを重視しています。加えて、循環器専門医として、低血糖が心不全の予後に影響することを経験していることからも、心血管疾患を併存している患者さんでは特に、低血糖を防ぐことも重要だと考えています。
こうした良好な血糖コントロールとともに、大血管合併症予防のため、血圧や脂質といった他のリスク因子も含めた包括的な管理を目指しています。特に高血圧は、心不全や腎機能低下のリスク因子であり、管理が重要と考えています。
患者さんとは、治療開始後なるべく早い段階で、患者さんそれぞれの治療目標を話し合って決めるようにしています。治療継続のためには、5年後、10年後を見据えたイメージを持っていただくことが重要と考えているためです。話し合いのときは、患者さんのパーソナリティに合わせた対応を心がけています。

Q.2型糖尿病治療の薬剤選択において、どのようなことを重視されていますか?

血糖降下作用はもちろん、大血管合併症抑制のエビデンスを重視しています。加えて、罹病歴の短い患者さんに対しては治療中断を防ぐこと、多剤服用中の患者さんに対しては服薬負担の軽減を期待して、1日1回など簡便に服薬できる薬剤を選択するようにしています。
また、遅滞なく治療強化することも心がけています。そのため、用量調整できる薬剤や配合錠を処方するようにしています。服薬錠数が増えることに抵抗感をお持ちの患者さんが多いため、「数は変わらないがもう少し血糖が下がるタイプに替えましょう」と説明すると受け入れていただけることを多く経験します。心血管疾患に対してはヨード造影剤を使用する検査や治療が必要になることがあります。そのため、造影剤使用前に中止する必要がないかも考慮することがあります。

Q.SGLT2阻害薬エンパグリフロジンとDPP-4阻害薬リナグリプチンの配合錠であるトラディアンス配合錠の有用性についてどのようにお考えでしょうか?

図2トラディアンス配合錠は、リナグリプチンとエンパグリフロジンとの配合錠です

心不全を含めた心血管疾患と2型糖尿病が併存する患者さんの血糖管理には、心血管・腎イベントに関するエビデンスが豊富なSGLT2阻害薬ジャディアンスの有用性が期待できると考えています。さらなる血糖降下が必要な場合は、有効性とともに安全性も考慮してDPP-4阻害薬を選択するケースが多いです。この2剤を併用する場合は、服薬が簡便な配合錠への切り替えを考慮します。こうしたことから、1日1回1錠のトラディアンス配合錠は、有用な選択肢と考えています。
トラディアンス配合錠は、高血圧や脂質異常症の併存など将来のイベントリスクが高く、早期の血糖コントロール達成が望ましい場合に考慮する選択肢のひとつです。

トラディアンスデータ

トラディアンス国内第Ⅲ相比較・検証試験

図3国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) 試験デザイン

ジャディアンス単剤治療からの切り替えの有効性および安全性を検討した国内第Ⅲ相比較・検証試験をご紹介します。
本試験では、ジャディアンス10mgまたは25mg単剤で血糖コントロール不十分な日本人2型糖尿病患者さんを対象に、トラディアンス配合錠またはジャディアンス+プラセボを24週間1日1回経口投与しました。

HbA1c低下作用

図4国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) トラディアンス配合錠APは、24週にわたり優れたHbA1c低下作用が検証されました

その結果、ジャディアンス10mgからトラディアンス配合錠APへ切り替え後24週間のHbA1cはご覧のように推移しました。
投与24週後のHbA1cのベースラインからの変化量は、ジャディアンス10mg+プラセボ追加投与群の-0.12%と比較して、トラディアンス配合錠AP群で-0.94%と有意な低下が検証され、その差は0.82%でした。。

図5国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) トラディアンス配合錠BPは、ジャディアンス25mgで効果不十分例に対し、HbA1c低下作用が検証されました

また、ジャディアンス25mgからトラディアンス配合錠BPへ切り替え後52週間のHbA1cはご覧のように推移しました。
投与52週後におけるHbA1cのベースラインからの変化量は、ジャディアンス25mg+プラセボ追加投与群の-0.27%と比較して、トラディアンス配合錠BP群で-0.86%と有意な低下が認められ、その差は0.59%でした。

安全性

図6国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) 安全性

本試験の52週間投与における副作用発現割合は、トラディアンス配合錠BP群では28.4%(33/116例)、ジャディアンス25mg+プラセボ追加投与群では19.8%(23/116例)でした。
主な副作用は、トラディアンス配合錠BP群で血中ケトン体増加13.8%(16/116例)、無症候性細菌尿および尿中ケトン体陽性はいずれも3.4%(4/116例)、遊離脂肪酸増加2.6%(3/116例)、ジャディアンス25mg+プラセボ追加投与群で血中ケトン体増加7.8%(9/116例)、体重減少4.3%(5/116例)、無症候性細菌尿2.6%(3/116例)などでした。

トラディアンスに含まれるリナグリプチンとエンパグリフロジンのエビデンス

図7トラディアンスに含まれるリナグリプチンとエンパグリフロジンのエビデンス

トラディアンスに含まれるリナグリプチンとエンパグリフロジンのエビデンスはご覧のとおりです。。

まとめ

一次予防、二次予防いずれの患者さんに対しても、低血糖を回避しつつ、必要に応じて適切なタイミングで治療強化をし、できるだけ早期からの良好な血糖コントロールが求められます。また、大血管合併症抑制のためには、血糖をはじめとしたリスク因子の包括的な管理も重要です。患者さんの治療意欲の面から、簡便に服薬できる薬剤は有用性が期待できます。
  • boehringer ingelheim
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2020年6月作成
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糖尿病治療の目標

トラディアンス配合錠は、リナグリプチンとエンパグリフロジンとの配合錠です

国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) 試験デザイン

国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) トラディアンス配合錠APは、24週にわたり優れたHbA1c低下作用が検証されました

国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) トラディアンス配合錠BPは、ジャディアンス25mgで効果不十分例に対し、HbA1c低下作用が検証されました

国内第Ⅲ相比較・検証試験(1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験) 安全性

トラディアンスに含まれるリナグリプチンとエンパグリフロジンのエビデンス