スピオルト 製品紹介100年時代の設計図 
~高齢者の多病性に打ち克つ~

スピオルト®レスピマット®28吸入/60吸入
100年時代の設計図 ~高齢者の多病性に打ち克つ~ 100年時代の設計図 ~高齢者の多病性に打ち克つ~
寺本 信嗣 先生(東京医科大学 八王子医療センター 呼吸器内科 教授)

寺本 信嗣 先生(東京医科大学 八王子医療センター 呼吸器内科 教授)寺本 信嗣 先生(東京医科大学 八王子医療センター 呼吸器内科 教授)

プレフレイルでの予防対策の重要性プレフレイルでの予防対策の重要性

日本では未曾有の高齢化を迎え、人生100年という時代になってきました。

高齢者医療費の増加により医療社会福祉制度が破綻するのではないかといわれています。そのため、長寿社会に対する否定的な意見も聞かれますが、本当にそうでしょうか。

宮城県の町で行われた研究では、死亡直前1.5ヵ月の医療費を比較すると、84歳未満では約70万円だったのに対し、85歳以上は約20万円、95歳以上は約10万円でした1)。つまり、元気な高齢者は、医療費をあまり使わない可能性が考えられます。

健康寿命を延伸するためにはどうしたらよいでしょうか。日本老年医学会では、「フレイル」という概念を提唱しています。ほとんどの高齢者が「フレイル」状態を経て「要介護」になります。したがって、フレイルにならないための予防、つまり「プレフレイル」の段階での予防対策が重要という考え方です。

1) Nakajoh K, et al. J Am Geriatr Soc. 1999; 47: 1161-1162.

COPDの何が問題かCOPDの何が問題か

高齢者において問題となる疾患のひとつがCOPDです。COPDは、主に喫煙により引き起こされる肺の炎症性疾患です。

ではCOPDの何が問題なのでしょうか。私は以下のような問題があると考えています。

  1. 患者さんの数が多い

    70歳は5人に、80歳は4人に1人がCOPD患者だといわれています2)3)

  2. 医療コストがかかる

    COPDは世界第3位の死因となっています4)

  3. 肺炎の原因となる

    COPD患者さんでは肺炎リスクが高いことが知られています5)

  4. 老化(フレイル)の悪化

    COPDはフレイルの要因になります6)。一方で、こちらは介入が可能です。

  5. 心疾患、糖尿病のリスク、悪化因子となる7)

2) Fukuchi Y, et al. Respirology. 2004;9(4):458-465.
3) Gershon AS, et al. Lancet. 2011;378(9795):991-996.
4) Lozano R, et al. Lancet 2012; 380: 2095–2128.
5) Soriano JB, et al. Chest. 2005;128(4):2099-2107.
6) 海老原 覚, ほか:日内会誌 2018; 107(9): 1708-1712.
7) Fabbri LM, et al. Eur Respir J. 2008;31(1):204-212.

内科診療におけるCOPD治療の現状内科診療におけるCOPD治療の現状

COPDは呼吸器の疾患ではありますが、全身の炎症性疾患と考えられており、糖代謝異常、筋力低下、心血管疾患などさまざまな疾患を引き起こします7)。そのため、私はCOPDを治療しない内科診療はないと考えています。日本の報告では、循環器外来を受診した患者さんの27%が、COPDを合併していたことが報告されています8)

7) Fabbri LM, et al. Eur Respir J. 2008;31(1):204-212.
8) Onishi K, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 29;9:563-8,2014.

高齢者におけるCOPDの考え方高齢者におけるCOPDの考え方

呼吸器内科としてはCOPDを中心に併存疾患が存在すると考えがちですが、実際には老化の過程にさまざまな疾患が併存していると考えることが重要です。

COPDによる悪循環COPDによる悪循環

COPDでは呼吸困難が生じるため、代償的に活動性が低下します。実際、軽症でも活動性が低下していることが報告されています9)。そして活動性の低下は食欲不振や栄養低下(体重減少)、あるいは筋力低下につながります6)。こうしたことから、COPDはうつ状態10)、フレイル11)を引き起こすことがわかっています。

一方、COPDは診断されていない患者さんが多いことが報告されており2)、うつ状態やフレイルの高齢患者さんにCOPDが潜在している可能性が考えられます。COPD患者さんは息切れの重症度を過小評価することが報告されており12)、適切な治療が行われていないことも推測されます。

9) Pitta F, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2005;171(9):972-977.
6) 海老原 覚, ほか:日内会誌 2018; 107(9): 1708-1712
10) Yohannes AM, et al. Eur Respir Rev. 2014; 23(133): 345-349.
11) Marengoni A, et al. Chest. 2018;154(1):21-40.
2) Fukuchi Y, et al. Respirology. 2004;9(4):458-465.
12) Rennard S, et al. Eur Respir J. 2002;20(4):799-805.

COPD治療の意義COPD治療の意義

こうしたことから、COPDを適切に診断し、治療を行うことで、息切れを改善することが重要だと考えられます。息切れを改善することで、フレイルや身体活動性が改善され、歩行が可能になり、糖尿病が併存していれば、運動療法につなげることができます。運動療法が実現できれば、筋力の改善や炎症マーカーの是正も期待できると考えます13)14)

13) Hayashino Y, et al. Metabolism. 2014; 63(3): 431-440.
14) Melo LC, et al. Oxid Med Cell Longev. 2017; 8523728.

TONADO試験TONADO試験

では、息切れの改善にはどのような治療が考えられるのでしょうか。

COPD患者さんに対して息切れの改善が期待できる薬剤のひとつが、LAMA/LABA配合剤のスピオルト®です。

スピオルト®は、日本人を含むCOPD患者さんを対象としたTONADO試験で、呼吸機能や息切れの指標であるTDI総スコアをLAMA単剤に比べ有意に改善することが示されています。

日本人部分集団解析において、主要評価項目である24週間後のFEV1AUC0-3hおよびトラフFEV1の変化量は、スピオルト®群でスピリーバ®群と比較し有意な改善が検証されました。

また、TDI総スコアの24週間後の変化量は、スピオルト®群でMCIDを超える1.56点の改善が認められ、COPDの主症状である息切れに対する効果も検証されています。

日本人部分集団において副作用はスピオルト®群79例中9例(11.4%)、スピリーバ®群76例中4例(5.3%)に認められました。重篤な有害事象は15例、14例に認められ、うち死に至るものはスピオルト®群1例でした。また、中止に至った有害事象は10例、6例でした。

主な有害事象は鼻咽頭炎、COPD、気管支炎で、スピオルト®群ではそれぞれ24例、19例、12例、スピリーバ®群ではそれぞれ15例、13例、9例の日本人患者で報告されました。

このように、スピオルト®は息切れの改善が示されています。一方、これまでご説明してきたとおり、COPD治療においては、息切れだけでなく身体活動性を改善することも大切です。身体活動性はCOPDの最も強い予後因子であることも報告されています15)

15) Waschki B, et al. Chest. 2011;140(2):331-342.

PHYSACTO試験PHYSACTO試験

そこで、身体活動性に対するスピオルト®の有用性についてもみてみましょう。

PHYSACTO試験は、行動変容プログラム下でスピオルト®の運動耐久時間および身体活動性への影響を比較検討した試験です。対象をプラセボ群、スピリーバ®群、スピオルト®群、そしてスピオルト®に運動トレーニングを併用した群の4群に無作為に割り付け、1日1回12週間吸入投与による有効性と安全性を評価しました。

主要評価項目である8週間後の一定負荷シャトルウォーキング試験中の運動耐久時間は、スピリーバ®群ではプラセボ群と比較して有意な差が認められなかったものの、スピオルト®群ではプラセボ群に対して29.2%の有意な運動耐久時間の延長が検証されました。さらにスピオルト®に運動トレーニングを併用した群では45.8%の延長が認められました。

本試験における有害事象発現率は、プラセボ群61.3%、スピリーバ®群67.1%、スピオルト®群57.9%、スピオルト®に運動トレーニングを併用した群では64.5%でした。

心不全管理の重要性心不全管理の重要性

COPDではスピオルト®レスピマット®により息切れや運動耐久時間が改善されたことをご紹介しました。先ほどご説明したとおり、COPDではさまざまな疾患が併存します。なかでも糖尿病は高頻度に合併し16)、互いに予後を悪化させます17)18)。そこで、糖尿病への対応についても考えてみたいと思います。

私は、高齢者の糖尿病における血糖管理では、安全性の観点からDPP-4阻害薬が有用な選択肢のひとつと考えています。近年、糖尿病患者には心不全の合併が多いことが知られています19)。心不全は、高齢者の活動性を低下させ、筋力低下、体重減少を介してフレイルを引き起こす20)疾患でもあり、その管理が重要です。

日本循環器学会と日本糖尿病学会の「糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント」では、心不全あるいは心不全高リスクの糖尿病患者に対してはSGLT2阻害薬が推奨されています21)

16) Divo M. et al.: Am J Respir Crit Care Med. 186: 155-161, 2012
17) Holguin F, et al. Chest 2005; 128(4): 2005–2011.
18) Ho TW, et al. PLoS One. 2017;12(4):e0175794.
19) Nichols GA, et al. Diabetes Care. 2001; 24(9): 1614-1619.
20) 北岡裕章:内科 2018;121(4) 843:847.
21) 日本循環器学会・日本糖尿病学会 合同委員会 編:糖代謝異常者における
循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント
http://j-circ.or.jp/old/topics/files/jcs_jds_statement.pdf

誤嚥性肺炎の現状誤嚥性肺炎の現状

COPD患者さんの多くは高齢者です22)が、高齢者では誤嚥性肺炎の予防が重要です。われわれが、入院患者を対象に、誤嚥性肺炎と非誤嚥性肺炎の比率を検討したところ、70歳以上ではほとんどが誤嚥性肺炎でした。

22) 日本呼吸器学会COPDガイドライン第5版作成委員会(編). COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版. 東京:メディカルレビュー社;2018

誤嚥性肺炎の対策誤嚥性肺炎の対策

では、誤嚥性肺炎はどのように予防すればよいのでしょうか。

こちらに誤嚥性肺炎の対策をお示しします。嚥下機能の改善や摂食介助、口腔ケア、口腔衛生への配慮、抗菌薬の適正使用、上半身挙上や体位変換、GERD予防、便秘や栄養の改善、肺機能の改善、つまりCOPDの適切な管理と禁煙、睡眠薬など嚥下障害を悪化させる因子を減らすこと、また、易感染性の対策のひとつとして糖尿病の管理があげられます。

人生100年時代においては、健康寿命を延ばすことが重要です。

そのためには、プレフレイルの段階で介入し、高齢化に伴うさまざまな疾患を適切に診断、治療し、フレイルにならないための対策を行うことが求められます。COPD患者さんは、息切れにより活動性を低下させ、フレイルのリスクが高まるため、息切れおよび活動性の改善を目指した治療が必要です。LAMA/LABA配合剤であるスピオルト®は、息切れおよび活動性の改善を目指したCOPD治療において、有用性が期待できる薬剤です。

今回の内容が先生の臨床のご参考になりましたら幸いです。

フレイルの位置付け

心血管障害歴別気流閉塞合併率

Moving towards a Copernican view of COPD

高齢者COPDの未診断、未治療が、ひきこもり、うつ状態、虚弱の悪循環の重要な原因である

試験概要

スピオルト®は日本人部分集団においても一貫してスピリーバ®と比較し有意な呼吸機能(FEV1AuCo-3h、トラフFEV1)の改善を示した。(日本人部分集団/海外データを含む)

スピオルト®は日本人部分集団においても一貫してスピリーバ®と比較し有意な息切れ(TDI総スコア)の改善を示した。(日本人部分集団/海外データを含む)

安全性のまとめ

試験概要

スピオルト®はプラセボと比較して有意な運動耐久時間の延長が検証されました

安全性

ひきこもり、うつ状態、虚弱の悪循環の重要な原因はCOPDだけではない

日本の入院肺炎症例の現状

誤嚥性肺炎の対策とは