COPDの吸入指導地域レベルでのネットワーク化が鍵

COPDの薬物治療の第一選択薬は吸入薬ですが、さまざまな吸入デバイスがあり、それぞれに応じた吸入指導が大きな鍵を握ります。多職種連携による吸入指導を考えるシリーズの第三回目では、大阪で開催されたCOPD吸入薬Web Seminar「COPD吸入療法・指導のポイント~診療報酬改定を踏まえて~COPD吸入療法の実際(診断・吸入薬選択・吸入指導)」(主催:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)の模様をご紹介します。

COPD吸入薬Web Seminar
開催年月日:2020年6月16日 開催地:ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪府大阪市)

丸毛 聡 先生

レスピマット®
ゆっくりと長い時間
噴霧が可能。

丸毛 聡 先生

公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院
呼吸器内科/感染症科 部長

最初に診察ならびに吸入指導のポイントを実際の場面を想定して再現(ロールプレイ)。
その後にCOPDの吸入療法について講演していただきました。

ロールプレイ COPDの診断と吸入薬選択 ロールプレイ COPDの診断と吸入薬選択

丸毛先生 : 息切れについて検査したので、結果をご説明します。まず、肺のレントゲン写真ですが、肺が通常より膨らんでいる、「過膨張」の状態です。胸部CT写真では、黒く抜けた部分が目立ちます。これは「肺気腫」といって、長年の喫煙習慣で肺が壊れている状態です。次に肺活量ですが、息を吐くスピードが落ちて息が吐きにくい状態で、閉塞性障害のⅢ期です。以上の結果から慢性閉塞性肺疾患(COPD)が考えられます。昔で言う肺気腫や慢性気管支炎です。
 今回、mMRCとCATという2種類の問診票に記入していただきました。mMRCは0-4点で息切れの程度を調べる検査です。同年代の人と同じペースで歩けない状態の2点という結果で、息切れが強いと言えます。CATは症状やQOLを評価する指標ですが、結果は20点でした。生活に影響があり治療が必要です。喘息の合併は見られないので、純粋なCOPDという診断です。
 COPDでは、何かのきっかけで症状が悪化し、追加の治療が必要となる「増悪」があります。抗生物質など追加治療が必要になることがありますが、この1年でそのような経験をしましたか?
吉田さん(患者さん) : はっきり覚えていませんが、風邪をこじらせて、かかりつけ医に1度、抗生物質を出してもらいました。
丸毛先生 : それが増悪です。COPDでは肺機能低下など命に影響しますので治療が必要です。以上の結果から、息切れの原因はCOPDと考えられます。COPDでは、お薬の治療とそれ以外の治療がありますが、吉田さんの場合はお薬の治療を考えます。吸入して気管支を拡げる気管支拡張薬を出します。主に2種類ありますが、症状がよくないので合剤という両方が入ったお薬を使います。吸入薬は大きく分けて粉と霧、1日の吸入回数が1回と2回のものがありますが、今回は1日1回の霧タイプのスピオルト®レスピマット®が良いでしょう。1日1回吸入で24時間、気管支を拡げる効果が保たれます。増悪を抑えるためにも、症状がないときも定期的に吸入してください。
吉田さん : ありがとうございました。

丸毛 聡 先生 吉田さん(患者さん)

講演 COPDの吸入療法 -適切な吸入薬と吸入デバイスの選択- 講演 COPDの吸入療法 -適切な吸入薬と吸入デバイスの選択-

 本日は、安定期COPDの吸入療法で用いる吸入薬と吸入デバイスについて解説します。吸入薬については「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版」で、「長時間作用性抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用性β2刺激剤(LABA)」、「単剤で不十分な場合はLAMAとLABAを併用(LAMA/LABA 配合薬も可)」、「喘息病態合併の場合にはICSを併用」と記されており1)、症状に応じて単剤、併用のいずれかで薬物治療を行います。
 吸入薬は、ドライパウダーとミストタイプに大きく2分でき、前者にはドライパウダー定量吸入器(DPI)が、後者には加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)およびソフトミスト定量吸入器(SMI)が吸入デバイスとして使用されています。近年、開発が進む吸入デバイスの中で、唯一のSMIであるレスピマット®に関しては、吸入のしやすさ2)や薬剤の肺への良好な沈着率3)などの複数のエビデンスが報告されています。細かいミストを発生させることで、小さい粒子径のエアロゾルを高率に産生できるとともに、2方向からミストが衝突する仕組み(ユニブロック構造)で、ゆっくりと長い時間(約1.5秒4))噴霧が可能です3, 5)。また、噴霧のタイミングにあわせた同調を行わなくても充分量の薬剤を吸入できるため、吸気速度や吸入同調の可否に関係なく吸入が可能で、初期から終末期まで幅広い患者さんが安心して使用できる吸入デバイスだといえます(表)6)

[ References ]
1. 日本呼吸器学会COPDガイドライン第5版作成委員会(編). COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版. 東京:メディカルレビュー社;2018
2. Dalby R, et al. Int J Pharm 2004; 283: 1-9.
3. Pitcairn G, et al. J Aerosol Med 2005; 18: 264-272.
4. Hochrainer D, et al. J Aerosol Med 2005; 18: 273-282.
5. Tamura G, Allergol Int, 2015; 64: 390-392.
6. Chapman KR, et al. Eur Respir Rev 2005; 14: 117-122. 

患者特性による使用可能吸入デバイス一覧

表 患者特性による使用可能吸入デバイス一覧

Chapman KR, et al. Eur Respir Rev 2005; 14: 117-122.より作図

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2020年8月作成